母親のこころ 1

母親のこころのバランスは子育てのキーワード

親にも子どものこころがあります。

よい母親をやり続けることはできません。

やれるだけでいいのです。

誰かにどこかに頼りましょう。

解説

親のこころにも子どものこころがあります。

母親には3つのこころがあります。「良いお母さんをしたい」という“親のこころ”と、「一人の社会人として認めてほしい」と思う“大人のこころ”、そして、「わたしも誰かに甘えたい」という“子どものこころ”です。

子どもを産むと母親は、24時間“親のこころ”でいなければならなくなります。社会や世間や母親自身、そう思い込んでいるからです。でも24時間“親のこころ”でいられるわけがないのです。押し込められ、我慢した2つのこころは思わぬところで出てくるものです。

特に子どもと関わり続け、よい母親をすればするほど、母親の中の“子どものこころ”が辛い思いをします。そして、その気持ちを誰にもわかってもらえずにいると、どんどん実際の我が子が嫌になってきます。子どもの些細な行動が気になり、許せなくなるのです。そして、そんな自分を責めてしまう。その繰り返しの末、子どもを愛せなくなり、最悪の場合虐待や子殺しにつながっていくことにもなりかねないのです。

だから何よりも「母親のこころのバランス」を大切にしてほしいと思います。

1番目と2番目の子宮であり、ホームベースであるお母さんの心の安定が、子育てのキーワードになります。それは、社会や家族、そして母親自身が十分認識しておく必要があるのです。この時期のお母さんは、自分の心のバランスをとっていくということを、子どもと関わることと同じくらい大切な仕事だと考えてほしいと思います。

それではどうしたらお母さんの心の安定が保てるのでしょう。最近行政も少しずつその方向に動いてくれていますが、やはり一番は「夫にわかってもらう」ということです。その次が両親の援助がもらえるかどうかということでしょう。母親の中の“子どものこころ”“誰かに甘えたい、わかってほしい”という思いを受け止めてもらう誰かが必ず必要なのです。

しかし、人によって条件は様々です。夫を仕事に盗られてしまい、頼りにならない人もまだまだたくさんいます。シングルマザーもいるでしょう。両親も頼りにできないという話しもよく聞きます。友人がいなければ支援センターや、サークルに出かけてください。いろいろな相談機関も必ずあります。希望すればカウンセリングも受けられます。自分の好きなところへ是非頼ってください。

とにかく、子どもにとって大切な大切なお母さんです。子どもを甘えさせる分、どこかで自分も甘えさせてもらい、大変な時期を乗り越え、そして子どもの成長とともに、“大人の自分”を取り戻してほしいと思います。

私は決して良い母親ではありませんでした。カッとなって子どもを叩いたこともありました。その後泣きながら子どもを抱いてあやまったこともあります。起きている間の子どもが全然かわいいと思えず、寝ている我が子に「ごめんね。本当はお母さんはあなたが大好きだよ」と何度泣いて頭を撫でたことでしょう。

今たくさんのお母さん達の話しを聞いていくと、みんな同じなんだと気付かされます。そして、皆、自分だけだと思っているのです。大丈夫ですよ! みんな多かれ少なかれ同じ思いで子育てに奮闘しているのです。