子どものこころ 4

兄弟姉妹は宿命のライバル

下の子が生まれると、上の子はお母さんを盗られたと思います。

赤ちゃん返りをしたり、我慢して良い子を装ったりします。

上の子も、もう一度子宮に返す感覚で「あなたが一番」と言ってあげましょう。

「愛されている」と安心させてください。

一人ひとりを大切に見てあげてください。

解説

兄弟姉妹は宿命のライバルなのです。

子どもは兄弟姉妹の中で、いろいろな事を学びます。しかし、一つしかない子宮を奪い合わなければならない為に、寂しい思いをさせてしまうことも事実です。

下の子が生まれると上の子は、母親の愛情が自分から下の子へ行ってしまったと思い、とても辛い思いをします。弟や妹を心の底では憎らしくて仕方がないのです。何とか母親の気を引こうと、自分も赤ちゃんのように振る舞ったり、逆に、良い子を装うこともあります。

そんな時は、また子宮に返してあげるような気持ちで「あなたが一番」と言ってあげてください。母親の愛情を確認できれば、ちゃんと離れられるようになります。方法はその子によって色々と考えられます。抱きしめること、言葉をかけることはもちろん、夜は一緒に寝てあげるなど、とにかく“子どもの気が済む”ということが大切です。

そして、できれば下の子の子育てお兄ちゃん、お姉ちゃんとして参加してもらいましょう。「ありがとう。お母さんうれしい」という言葉をかけながら・・・。

わがままばかり言って困らせる上の子を「かわいくない」と思うこともあるでしょうが、是非、寂しがっているその子の気持ちをわかってあげてください。

でも“ダメな事はダメ”ということも忘れてはいけません。アメで機嫌をとるような安易な子育てをしてはいけません。

私にはふたつ違いの弟がいます。「男の子が生まれてうれしかった」と幼い頃、よく母から聞かされていました。その頃は気付きませんでしたが、長女として生まれた自分を私はあまり好きではなかったようです。

もちろん、母も私を傷つけるつもりはないし、そんな思いをわが子が持っていたなど夢にも思っていなかったでしょう。しかし私は、弟のことを“愛情を奪い合うライバル”として、かなり長い間みていたように思います。母に認めてほしかったのでしょうね。

人の苦しみに目を向けていると、私と同じような幼少期の思いに出会います。もちろん、長男長女だけでなく、中子や末子の人もそれぞれの事情で辛い思いをしています。特に上の子が優秀な場合、劣等感で自分をなくしている子も多いようです。その子、その子にそれぞれ「おまえはおまえでいいよ」と言ってもらえなかった結果なのかもしれません。

できるだけ、一人ひとりをちゃんとみてあげてください。そしてできることなら、(私は一人しか育てられませんでしたが)母親のエネルギーと上の子の成長を考えながら、次の子どもにも挑戦してください。ライバルだけどその関係で育つ心もまた大きいのです。

私は今、弟に対して言葉にできないくらい感謝をしています。いてくれてよかったと本当に思います。

時々、赤ちゃんを抱いたお母さんが、上の子を必要以上に叱っているのをみかけます。皆かわいい赤ちゃんの方に目をやりますが、私はなるべく上の子に話しかけるようにしています。母を奪われ寂しい思いをしている上の子に、“かわいいね”と頭を撫でてあげます。それは、遠い昔の私自身の頭を撫でているような、そんな気持ちもあるのかもしれません。