子どものこころ 3

子育てに大切な3つの柱

1. 甘えさせる(子宮へ受け入れる)

いっぱい抱きましょう。

いっぱい愛の言葉をあげましょう。

「愛しているよ」「生まれてくれてよかった。ありがとう」

「おまえがかわいい」「大丈夫、大丈夫」

2. 甘やかさない(子宮から出す)

社会のルールを教えましょう。

自分の事は自分で考え、行動させましょう。

基本は「気持ちはわかるけど、ダメなものはダメ」ということ。

3. 子供と離れる(子供を追いかけない)

子供を親のホームベースにしてはいけません。

あなたの子どもは今、どれが必要ですか? 間違えないようにゆっくり考えてください。

解説

子育てには大切な3つの柱があります。この3つの柱さえ達成できれば“一人で生きられる大人”に必ず育つと私は考えます。

1. 甘えさせる(子宮に返す感覚)

子どもが抱いてほしいとねだった時、抱いてあげることが大切です。お母さんの子宮から出された赤ちゃんは、いつも不安な状態です。人が育つということは試練の連続ですから、些細なことでも不安になったりします。幼い子どもの場合、タイミングをはずさず抱いてあげれば、満足して、また試練に向かって行けるのです。十分に「子ども」をさせてあげてください。

抱くことの次に重要な“こころを育てる言葉”があります。子宮に帰ってきた子どもにたくさん言ってあげてください。「愛しているよ」「生まれてくれてよかった。ありがとう」「おまえがかわいい」「大丈夫、大丈夫」。これらは、子どもの根っこをつくる大切な言葉です。自尊心が育ちます。テストなどの点数をほめるより、もっともっと大切な言葉です。

2. 甘やかさない(子宮から出す感覚)

根っこができたら、社会で生きるための練習が始まります。子どもは、「自分でできた」という経験を積み重ねて、生きる自信をつけていきます。放りっぱなしでも、かまい過ぎでも一人で生きられるようにはなりません。大変なようですが、方向さえわかっていれば、失敗しながらも育っていくものです。

基本は「自分の事は自分で」「気持ちはわかるけど、ダメなものはダメ」ということです。本人がやれることを見守りましょう。できない事に力や智恵を貸しましよう。子どもが持つ“生きる力”を親がどれだけ信じて待ってあげられるか、辛く、難しい仕事です。

また、「ダメな事は絶対に譲らない」という姿勢も大切です。親は親であり、友達とは違います。社会で生きる為の我慢は養育する人が教えなければ、外で迷うことになります。

その際とくにお父さんの役割は重要です。「この子を一人前にする為に、何をダメと言うか」夫婦で真剣に話し合ってほしいと思います。世間体や親の思い残しや期待で、子どもに無理をさせることではありません。それで苦しんでいる子どもがたくさんいる事も忘れてはいけません。

基本的には「子どもの意志は尊重するけれど、その要求に対しては、親や社会は“NO”と言うこともあることを教える」ということだと思います。

そして忘れないでほしいのは、“思い通りに行かない事を我慢する子どもの気持ち”をわかってあげるという事です。泣きたかったり、悔しかったり、腹が立ったり、行き場のない感情を親に受け止めてもらってこそ、また子どもは試練に立ち向かって生きる勇気が持てるのです。その繰り返しで、自分の感情を自分でコントロールできる人へと成長していくのです。

3. 子どもと離れる(子どもの成長を受け入れ、追いかけない)

子どもを親の生きる糧にしてはいけません。「あなたがいるから私は生きていける」と子どもを親のホームベースにしてしまうと、子どもは一人で生きられるようになりません。うまくいかないと、いつまでも自立できず親を頼りにしか生きられない子になるか、親がうっとうしくなり、まだ育っていないのに家を飛び出すような子どもになる場合もあります。

いつの時期も、子どもがホームベースから出て行った時、親は追いかけず、“ドン”と待ち、親は親自身の人生を生きてほしいと思います。

子どもが育つためには、甘やかすだけでも、厳しいだけでもうまくはいきません。「十分甘えさせ、そして、自分の事は自分でやれるよう、心を鬼にして“ドン”と待っている」一言で言うとそんなところでしょうか。親の役割はある意味、修行のようにも思えてきます。特に価値観の多様な現代は、本当に大変な役割です。ただ、方向を間違えず、失敗も繰り返しながら、一人の人間を育てる努力をお願いしたいと思います。必ず報われます。

私は決してよい母親ではありませんでしたが、成人した我が子をみて「本当に育ててよかった」と思います。