社会や世間の人々のこころ

世の中で一番大切な仕事は「人を育てる」ということ

社会全体が、その一役を担っています。

妊婦と乳幼児を持つお母さんを、尊敬と感謝で見守りましょう。

子どものホームベースになる人をみんなで支える努力が必要です。

解説

女性たちは、少子化問題解決のために子どもを産むのではありません。女性という性を持って生まれ、男性と愛し合い、自分の意思で母親の道を選びます。本当はすばらしい事のはずなのに、現代の女性達の思いはどうでしょうか。また、社会や世間では、そんな女性達への尊敬と感謝の気持ちが、どれ程充実しているのでしょうか。

社会にはいろいろな仕事がありますが、「ひとりの人間を育てる」という事ほどすばらしい仕事はないのではないでしょうか。その一番大切な、そして過酷な部分を受け持つ胎児と乳幼児のお母さんを、世の中の人がみんなで守ってあげる努力をしなければ、子どもが育つはずはないと私は考えています。

また、それを支える父親の成長度や意識も重要なことだと思います。

結婚は「二人でホームベースをつくりましょう」と誓うものですが、妻をホームベースにするしか方法のない夫たちも、なんと多い事でしょう。その事を社会がどう認識しどう援助していくのか、これも子育てには大切なポイントだと思っています。

それから、よりいっそう過酷な子育てをしなければならないシングルマザーに対し、社会の目はよい方向へ変化してきたでしょうか。

私も離婚経験者ですが、婚姻中は離婚した女性に対し「我慢できない人」として受け入れることができませんでした。離婚後はそんな自分をとてもはずかしく思いました。

子どもにとって母親が幸せに生活している事がなによりも重要です。また、母親の限られたエネルギーから優先順位を考えた時、夫と別々に生活した方がよい場合もあるという事実を、社会は理解すべきではないでしょうか。

もちろん別れても子どもの中から、父親を消すことはできません。子どもが自分の半分を嫌いにならないように、一人で育てる覚悟を持ったお母さんは、特に強く生きてほしいと思います。逆の場合も同じです。

極端な言い方をすれば、世の中の仕事、社会の存在意味のすべてが「子どもを育てるためにある」と言えるのではないかと私は思います。ですから、子どもがいない人も、すでに子育てを終えた人達も、皆、社会の子どもを育てていると言えるのです。

そう考えた時、私たち一人ひとりは「子どもがちゃんと育つ社会」をつくるための仕事をしなくてはならないことに気が付きます。

自分が行うその仕事やその考え方で、子ども達は本当に幸せになることができるのか、よく考えてみる必要があるのではないでしょうか。子ども達の苦しみを目にするたびに、今、社会を動かしている私達大人への重大な警鐘のように思えてなりません。

男性の意識改革とともに、私達、子育てを終えた女性達も若い母親へのきびしい視線は、気を付けたいことのひとつです。子どもを叱る母親にこそ、やさしい世間の目が必要なのです。

子どものホームベースをやさしく見守り、支えてあげられる社会が今、早急に求められています。社会や世間の人々は、自分がなにができるのか、今一度一人ひとりが、自分を問い直す時ではないでしょうか。