祖父母のこころ

子どもが育っていくために“見守る目”と“力”を貸してください

子育ての主導権は、その子の親のものです。

「子育てに大切な3つの柱」を理解してください。

一番大切な事は、母親へのサポート。

母親の中の“子どものこころ”をみてあげてください。

そして親とは違う愛をいっぱいあげてください。

解説

おじいちゃん、おばあちゃんがいるのといないのでは、子どもにとって大きな違いがあるように思います。それは、良い方に働く場合も多いのですが、悪い方に働くこともあります。

一番大切な事は、子どもにとっての子宮、特に母親に対して、どんな気持ちを持って接しているかという事です。「息子を盗った憎い嫁」などと思っていたら、とてもプラスに働くわけがありません。

子どもは親のものでもないのに、ましてや祖父母のものでもないという事も、当然認識しておかなければなりません。両親と同じように、祖父母も、子どもに対して過剰な期待を持ってはいけません。大人たちの期待は将来必ず子どもを苦しめます。

子育てに大切な3つの柱は、十分理解してほしいと思います。特に、両親の代わりに、祖父母が主に子育てをしなければならない場合は、祖父母が子どものホームベースになります。両親同様、“子どものこころをわかりながら”どれだけ愛してもいいけど、“自分の事は自分で”という姿勢を忘れてはいけません。過保護に接することも絶対避けましょう。

そして、やはり、一番大切な事は母親への援助です。母親になった娘や嫁は、その力量によって必要量は違うでしょうが、必ず誰かの援助を求めています。心の中の子どものこころが「誰か助けて」「誰かわたしを認めて」と泣いているのです。一番大変な時期は、子どもの成長にとっても、もっとも大切な時間です。そこに祖父母がいてくれることはどんなに心強いことでしょう。

私は、子育てをしていくなかで、どれほど母に助けてもらったか計り知れません。今考えると、もし母がいなかったら娘はどんな子になっていただろうと恐くなります。たった一人の子どもなのに、どれだけ大変だったか今でも覚えています。特に娘を預かってもらった事と、食事をさせてもらった事がとてもありがたかったと感謝しています。

ただ、母はやはり孫に対してかなり甘いおばあちゃんでした。私は親として、“一度だめと言った事は絶対譲らない”ということを徹底していました。ですから、娘は私の言う事は聞くのですが、母に対してはわがままを言い、ずっと泣き続けていました。そして結局負けてしまい、娘の言う通りにしてあげる甘いおばあちゃんでした。

しかし、私はそれでよかったと思っています。ホームベースである私がしっかりと「これは我慢させたい」と信念を持っていれば、祖父母の孫かわいさの甘やかしも、マイナスばかりではないように思います。それよりも、そのことで親子喧嘩をする方が、ずっと子どもにとっては不安な事なのです。子どもは思ったより利口で、相手を見ながらわがままを言うものです。

娘は今もおばあちゃんの事が大好きです。

人は歳を重ねた後、また子どもに返るといいます。社会的な責任を終えた後、どんな終焉をおくれるかは、その人の生き方そのものなのでしょう。今度は自分の子どもや嫁をホームベースにする時が来るかもしれません。

年の功で家族の“和”のために力を貸していただければ、子ども達も幸せです。